無限反復指数関数の積分
以下の関数は、Infinite Power TowerやIterated Exponentialと呼ばれる関数です。日本語での定まった名称はありませんが、ここでは無限反復指数関数と呼ぶことにします。
一見不気味なこの関数ですが、実は の範囲で収束することが知られており、その収束値は
です。ただし はランベルトのW関数( の逆関数)です。
また、 のグラフは以下の通りです。
定積分を求めてみる
この関数を収束範囲いっぱいで積分してみます。
つまり を求めてみます。
以下、 として、の逆関数を求めてそれを利用します。
は、の上に再び が乗っていると考えることが出来るので、
をみたします。
これをxについて解くと、
xとyを入れ替えると、
これがの逆関数です。
グラフを書いてみましょう。
青線が 、赤線がその逆関数 で、青い部分が求めたい面積(定積分)です。
青い部分の面積は、以下の赤い部分の面積に等しいです。
グラフより、赤い部分の面積は以下のように求まります。
よって
となります。これをDesmosで数値計算すると、以下のような結果となりました。
別のアプローチ
冒頭で紹介した収束値 を用いて計算してみます。
つまり、 を求めるわけですが、ランベルトのW関数 はDesmosに実装されていないし、Wolfram Alphaにこの式をそのままぶち込むとエラーを吐くので、置換します。
以下の の性質を用います。
いずれも の定義より明らかです。
とすると、 となります。
なので、
積分区間は から となります。よって、
となります。
これならば、以下のようにDesmosやWolfram Alphaでも計算可能です。
逆関数を用いて計算したときの値と一致していますね。
また、前回求めた公式を使うと以下のように表せます。